【アレルギーの遺伝について（図解）】
アレルギーと遺伝についての基本からです。
アレルギーの遺伝についての項もお読みください。ここでは１型アレルギーつまり杉
花粉症を起こす遺伝形式について書いておきます。体質という曖昧な言葉より『ある
物質に対してそれにアレルギーを示すようになる遺伝子をもつかどうか（つまりIgE
抗体を出すようになるか）』ということに絞るとこれは劣性遺伝しますことも書きま
したが、もっと具体的に書くと、これは高校の生物に似てきます。
つまり、ある女性に仮に杉花粉症があるとします。
この杉アレルギーの遺伝子はお母さんから半分、お父さんから半分もらいます。
劣性遺伝なんで、劣性遺伝子が両方の親からもらうことが発症の準備となります。
この杉花粉症発症を伴う遺伝子をａ、伴わない遺伝子をＡとします。
劣性遺伝の際は両親から両方(ａ２つ）受け継ぎこれがそろって発症になります。
つまり
(１)2人の両親から杉花粉症遺伝子をもらってる女性
ａ ａ これでａａの遺伝子をもつ女性
(父方の杉花粉症遺伝子）(母方の杉花粉症遺伝子) すでに杉花粉症発現
結婚相手の男性がａａ（すでに杉花粉症発症)なら子供は全員ａａになるので、子供は
杉花粉症発症の可能性が大いにあり。
また杉花粉症をもってないと思われる男性と（しかしＡａ 、もしくはａＡとしてもっ
てた）結婚するとします。この代ではこの男性は杉花粉症を発症していません。劣性
遺伝の場合はａａのみ発症するからです。
子供はａａ（子供も杉花粉症発症）
Ａａ （発症しないが遺伝子としてもっている）
となります。
(2)
ところが母か父かどちらかから杉花粉症遺伝子をもらってない女性でも、どちらかか
ら受け継いだ場合
この女性は Ａａ（母から杉花粉症発症遺伝子を引き継いだ）
もしくはａＡ（父から杉花粉症発症遺伝子を引き継いだ）
この場合はこの女性はこの代では発現しない。が遺伝子としてもっています。で本人
は発現しなくても，
もしこの人がａａ（この人はすでに杉花粉症発症してる）
もしくはＡａもしくはａＡ（この人は遺伝子でもってても発症はしてない）男性と結
婚する場合は
その2人の間の子供は ＡＡ
Ａａ （発症しないが遺伝子に受け継がれる）
ａＡ （発症しないが遺伝子に受け継がれる）
ａａ（発症）
の４パターンを取り、ａａなら杉花粉症として発症。後は発症しないが遺伝子にＡａ、
もしくはａＡとしてもってると、その代では発症しないが受けつながれてく。ところ
が，アレルギー発症促進（後に書きます修飾因子です）もしくは抑制として、その他
因子特に修飾因子として環境因子が働くのでａａといえど一生感じない程度かもしれ
ない。
しかも杉だけでなく、何百種類のこういった劣性遺伝を取る遺伝子は両親の遺伝子に
鎮座しています。（ハウスダストとか、真菌とか数知れず）それも環境や促進因子な
どで発症することもあります。それも種類ではありません。
また生まれ育った環境因子（発症促進因子、抑制因子）なども加わり、どれから発現す
るかとかどういう形式で発症するかは解らない。
つまりハウスダストアレルギーがｂｂで，アトピー性皮膚炎とか喘息発現の形式にな
る子もいれば、一生何もなく過ごす場合も、あるいはｂｂにａａが一緒に付いていて
もハウスダストに感受性があっても症状として一見なく、杉ばかりに発症する場合も
あるのです。
そういう人は『私は杉花粉症だけど、ハウスダストには(見かけ上)ない』と言う場合
も、もしかしているかもしれません。環境などによって変わるので。
しかしこういう女性（杉とハウスダストのアレルギー性疾患を発症してるタイプ）で
も、子供がハウスダストだけにアレルギーをもつ場合もなきにしもあらずです。たと
えばこういうａａ，ｂｂをもった女性がたまたまＡａ，Ｂｂ・・・つまり男性の側とし
ては発症してない)男性と結婚します。
子供はＡａ（父からは杉花粉症遺伝子をもらわなかった）ｂｂ（父からハウスダスト
アレルギー遺伝子をもらった）場合など、
『お父さんは杉もハウスダストもアレルギーはなくて、私もハウスダストにはほとん
ど反応しなかったのに、杉花粉だけだったようなつもりだったのに、なぜこの子はハ
ウスダストにこんなにアレルギーが出て、杉は出ないんだろう。』
これも遺伝子レベルだから解りません。発現してるならａａでしょうが発現してない
場合ＡａかＡＡか調べようがないということでしょうか。
両親とも一見杉に反応なしでも(母がＡａ，父がａＡ）子供が発症した、つまりａａ
の場合もあります。
ややこしいですがこれだけではないのでしょう。しかも抑制因子とか促進因子とか環
境などにより関係するのでしょう。
例としてもう一つ。奥さんに『食事性牛乳アレルギーのアトピー』遺伝子が発症の形
になってるならこれをｃｃ（遺伝子型）とします。奥さんのお父様ももってるけど兄
弟にはないとする、だから奥さんのお父様はｃｃ。兄弟はＣｃ。
ご主人は一見牛乳の食事性アトピー性皮膚炎がないように見える場合でもご主人にな
る方がＣｃで、因子を一個でももっていたら、妊娠中の子供は遺伝子がｃｃとなって
生まれつき食事性牛乳アレルギーでアトピー性皮膚炎をもつかもしれない、あるいは
Ｃｃになって遺伝子学的にはもたないので発症しないかもしれない。
だから兄弟で食事性のアトピー性皮膚炎が一人にある、一人にないというのはあります。
ただ遺伝子の事に関しては劣性遺伝ですが本当に『発症してなくても絶対Ａａ遺伝子
をもってないから子供には出現しない』と言うことは判定は難しいでしょうし、しかも
何百種類もある関連遺伝子を一々全部もってないなど確かめることは不可能ではと思
うと言うことでしょうか。
ただ、アトピー体質主体、つまり１型アレルギー中心の花粉症とかアレルギー性鼻炎
と違って、喘息やアトピー性皮膚炎は１型アレルギーだけではないのです。
１型から４型までが絡まっています。
アトピー体質（１型アレルギーが出やすい体質）はその発症の一つの誘因でこれだけ
ではありません。
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