【エッセイ 2001年年末 年末最後に 40代からのおしゃれ 大きな肩パットの交換】
80年代から90年代にかけて、大きな肩パットが流行った。そしてそのころ買った服、
ジャケットにはアメフトの選手なみの肩パットが入っている。一生ものと思った黒別
珍のジャケットにしろ、紺ウールのジャケットにしろ、ピンクのジャケットにしろ、
今その肩パットがうっとうしい。
写真で見るとこっけいだった。1度ドレスアップしていった礼装の場で黒別珍を着
た写真では肩だけがばーんと張ってる。
外してみよう。でも・・・これは業者さんに頼めない。自分で出来るかも知れない。
まず5枚あるジャケット（春もの、秋物も含め）のうち、1枚の肩パットを裏地を丁
寧にはずし、糸を切り、外してみた。しかしそれでは肩がストンと落ちる。しかし中
から出てきたなんという大きな肩パット。厚さ軽く1センチ。幅が15センチ。長さ20
センチはありそうなもの。目をみはった。こんなに大きかったとは・・・
外してみたら、当然肩が落ちる。このままでは肩がおかしい。それなら・・代わり
に昔からためていた小さ目とか薄めの肩パットをそこに入れてあてて縫ってみた。後
裏地を元通りに縫う。作業は本当に手間がかかった。1枚1時間以上・・・とても裏地
は人に見せられない。
しかし、大きな肩パットをはずして、不器用でも自分で小さな肩パットに代えて、
一旦ブラシをかけて着たら、あのアメフト選手のようだった黒別珍のジャケットのな
んと軽やかなこと。確かに玄人さんから見たら、型崩れはしてるかもしれないが、ま
た裏地も縫い目がそろってなくても、それでも着れないものが着れるようになった。
肩パットをいからせて歩く女性。何か無理してたあの時代。みな無理して・・・も
う肩パットは小さくていい。かといって外してしまうのでなくその服にあった小さな
肩パットをいれて歩く。
かっこいい女、おしゃれな女、キーワードだった言葉、それこそ大きな肩パットの
ようだった。30代はそれだった。心がそれだった。ダイエットに励み、おしゃれ雑誌も
読み、20代のファッションも無理に取り入れようとしたことすらある。
しかしそれすら続けることは大変であった。
（かといって肩パットをはずしきった女には今抵抗がある。）
反動で、一時、40前後でまったく「はずしきった女」にもなった。
おしゃれもしない、そのあたりのものを着る、それがかっこいいと思っていた。
しかしさびしかった。
大きな肩パットに象徴されるかっこいい女はいや、、肩に力が入りすぎた女が
いや、じゃあ、肩パットを全部とりきり、おしゃれを捨てたような女性。（まさに2年
前くらいまで）スランプだったあのころ・・・でも今はなぜか抵抗がある。
肩パットはおしゃれ、ひいては私の生き方の象徴だったのかも知れない。
等身大のおしゃれ。ちょうど合ったおしゃれ。大きな肩パットは外そう。かといっ
てまったく入れてしまわないのも不自然。今の私は、小さな肩パットを、肩に自然な形
になるように「自分で不器用でも」必要な時はなるべく入れること。
何か今の生きかたに似てる。私の今は、大きな肩パットをはずした。しかしはずしっ
ぱなしにしなくて、小さな肩パットをさりげなく、入れている。そういうおしゃれに
なっている。
そういえば心に肩パットなしで生きれた20代、
どうしても大きな肩パットを心に入れてた30代、
反動で一気に肩パットを外してしまい、後何もいれなかった40前後・・
今また私は小さな肩パットを気持ちの中に自分のためにいれよう、そして自分の力
でいれようとしている。等身大の肩にあう肩パットを。
おしゃれは心、心は生き方。今大きな肩パットも、また反動の、全然入れないこと
でもない今の私。
小さな肩パットを「自分で不器用でも入れて見ること」イコール等身大のおしゃれ
を欠かさないけど、無理をしないことにつながる、そして等身大の生活、等身大の生
き方を望んでいるのだろう。
まったくおしゃれしない、あの40前後の肩パットをはずしきった状態ではない。夏
はそれなりに美白し、秋はワードロープをそろえてみる。体型はなるべく崩さない努力
などなど・・・肩にちょうどあう小さな肩パットはいつも気をつけていれておきたい。
かといって大きな肩パットを無理に入れてみてはいけない、無理なダイエットも、
無理な高価なものも、派手なものも、ブランドも、私にとっては今とても大きすぎる
肩パットになってる。
そして最近黒を無理に着るのをやめている。
ベージュ。今は大好きな暖かいオフホワイト中心にしている。
不器用でも自分で代えてみた、小さな肩パットジャケットと、暖かいオフホワイト
ニット、ウエストだけはきちんと押さえた柔らかなフレアの膝下スカートが似合うだ
ろう「今の」私。
秋までとか30代ならしていた大きな肩パットや、無理に背伸びした黒ずくめ、
タイトスカートでない私。
かといって40になった前後の肩パットなし。そこらへんのものをかき集めて着てるわけ
でもない。
2001年は、80年代から90年代に流行ったジャケットなどの大きな肩パットをはずし、
「自分の力で、たとえ不器用でも」小さな肩パットに代えることで終った。
不器用でもいい。自分で入れてみること。そういう小さな肩パットが一番似合うみ
たいだ。
今21世紀。来年もいい年でありますように・・・
ありがとうございました。エッセイを読んでくださった方。来年も小さな努力を
積み重ねて、等身大の自然なおしゃれを続けたいと思っています。
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