１、不思議 こころが美しくなると そこいらが 明るく かるげになってくる どんな不思議がうまれても おどろかないとおもえてくる はやく 不思議がうまれればいいなあとおもえてくる ２、しずかな朝 より 髪のごとくゆるしたい ひとが投ぐるにくしみをむねにあたため 花のようになったらば神のまえにささげたい ３、しずかな朝 より 森はひとつのしずけさをもつ いちどそのしずけさにうたれたものは よく森のちかくをさまようている ４、晩秋 より 明日 （最後の7行） ほんとうに 自分の心に いつも大きな花をもっていたいものだ その花は他人を憎まなければ蝕まれはしない 他人を憎めば自ずとそこだけ腐れてゆく この花を抱いて皆ねむりにつこう ５、菊 菊には品がある 一本のやさしく雄勁な幹に 鉄色の葉がならんで いただきに黄いろい花をつけている なくてはならぬものだけを残した姿だ
