【エッセイ 2001年3月24日土曜の芸予地震】
まだここに書きたくない、震災は心災になるのだなとおもうのです。あの日の午後3
時半ごろ、まだ私は土曜日で外来診察中でした。地震は20秒くらい続いたでしょうか。
震度５の中、屋内が一斉にゆれ、その中患者さんをかばおうとして、片手を打撲しま
した。本当に怖かったです。花粉症でにぎわう中、たまたま終わる4時前でちょうど
患者さんが少なくてよかったです。土曜朝のひどい混雑の中の地震なら、多分けが人
も出たでしょう。
たまたま階段をおりる人がいなくて、怪我人がいなかったのが不思議なくらいでした。
自宅に帰って、散らばった家を見ると手首の痛みが増してきてああ、怪我してるんだ
とおもいましたが、片付けしないとどうしようもありません。うちは４階なので被害
が大きかったです。
家もさんたんたるものでした。自分の家と思えないくらい落ちて散らばっていました。
ホテルに泊まろうかとしても、そこもとまれず、土曜はコタツで仮眠しました。布団
が出せないので。
食器とか本とか散らばってどうしようもありませんでした。怪我がわたしだけだった
のと食器が割れてないのが不思議です。連れ合いと娘たちは旦那の実家に遊びにいっ
てるので今日は私一人で1日片付けです。食器が割れてなくて何よりでした。割れた
ら危ないから。寝るための押入れから布団を出せないくらい散らばってました。土曜
はそういうわけで片付け、日曜に旦那たちが帰宅して慌てて、一緒に片付けてくれま
した。
今日は3月29日です。しかし今もきてます・・・心因性トラウマ・・・でも、結局こ
ういう場では怖かった怖かったという方がいいのでしょうね。
夜中土曜に余震続く中、片付けてた恐怖は一生残ると思います。（たまたま旦那も娘
もいなかったから）心因的なものをどう片付けるか、あえて地震のことを言わないほ
うがいいのか、あえて口に出す方がいいのか、怖いといった方がいいのか、人によっ
て違うけど。
昨日患者さんの中ではあえて地震の怖さをいっさい言わない人もいました。このあた
りの女性はほとんどが働いていて、しかも自営の奥さんが多く本当に我慢強いんです
ね。だから無理してお店などや家を土日片付け、月曜から普段と変わらなく自分を励
まし、仕事に行く女性がすごく多いのです。しかしかなりの数弱音を言わないけど風
邪を併発して、25日、日曜から発熱、27日の火曜には増えています。これも震災と関
係ないといえないのでは。
あえてみな、地震のことを言わない、日曜は黙々と片付けしてたのでしょうか。
ただ最後にぽろっと・・・先生、「土曜」から急に寝られなくなったから軽い安定剤
ないですか。寝られないのです。こういう方もいました。なぜかこちらの張り詰めて
る気持ちがゆるみ、ほろっときます。
そう。日曜、やっと片づいた時に夕方７時頃の余震、あれがこたえた人は多かった。
ただこんな地震が東京に起こったら・・・本当に死者2人、火事なしではすまないだ
ろうとおもうのです。
