ネットオークションからきものを落札したりネットで着物を購入する時、思わぬ効用があった。ウールのすばらしさを見直したことである。
ウールの着物というと皆さんはどういうものを思い出すだろうか？
ああ、あのアンサンブルの、何か若い子とか中学生が着るあれね？羽織とセットの・・
たとえば上の右写真の黄色いのが妹のウール着物である(陰干ししてるもの）。
ウールイコール普段着イコール中学生や高校生の家でお正月に着るものとなってしまったのはなぜだろう。
かくいう私もそう思っていた。今まで着物にはまるまで手持ちはウールの着物と浴衣しかなかった。それも赤いもの。
また上の写真は妹の黄色いウールアンサンブルであるが、若い子しか着れない派手派手しいもの。絣の模様もの。
ウールねえ。絣の模様入りで赤とか黄色か、あるいは紺に赤い絣模様で半幅帯で10代が可愛く着る、あれでしょ？くらいにしか思われなく
なっている気がする。
しかしもともとウールは戦後、絹の不足からどんどん発展してきたものであるし、戦後から高度成長期、つまり日本でウールの
織物を工夫されていた時代は洋服でもサマーウールや一見ウールとわからない上質ウール生地がどんどん洋装、特に男性の
スーツになっていたのである。それが着物に応用されてなかったわけではなかった。今店頭にほとんどウールはない。安価だし
買う人もいない。ウール普段着説はどんどん定着してるからである。
ところが昭和のウールが山ほどあった。つまりインターネットのリサイクルショップや、ネットオークションにひっそりと隠れていた。
しかも安価である。シーズンですら1枚500円から1000円でどんどんウールが売られている現状である。でも実にシックであった。
半幅帯でなくシックに名古屋帯でお太鼓を結ぶ。きりっと身が引き締まる。そして幸せな気持ちになれる。
もともと私が｢ウールって普通の絣とか赤とか子供用でない」と解ったのも、母の蔵から出てきた数枚のウールであった。これは綿
だろうかというシックな色合い、あるものは明るいグレーの縞、あるものは綿かと思うくらいの軽さと薄さ。私はてっきりウールイコール絣
模様でアンサンブルでとばかり思っていたから、こういう母譲りの｢大人の普段着ウール」を家用兼お太鼓練習用に使った時は目からうろこ
であった。数枚のうち何枚かは母に「これは綿？ウール？」と聞いたくらいの薄さであったのだ。
ネットオークションで、ただちに買えて安価なウールを落札すると｢確実に」いいものが500円から1000円（1円というのもあった）が手に入る。
しかも洗える。
ウール100でないものも多い。絹との混の紬、ウール100でもうんと薄い春用。明るい白。ウール紬、そして写真の透けるサマーウール。
随分私はネットオークションやネットのお店で500円や1000円、あるいは1円！！で買い、助けてもらった。ウールがなければどうにもならなかった。
半幅帯でもお太鼓でもいい。羽織をつけてもつけなくてもいい。
多彩でしかも手入れしやすく、けして生地さえ選べば「けして初夏でも暑いものでない」ウールに魅せられた。
ウール普段着説は解る。しかしウールは家の中だけ説はいただけない。ウールを着てても、これがウールかどうか自分でも解らないものすらあるし
シルクウール紬などは、お出かけすら可能だ。
今着物が「よそいき」になった時代はどこに原因があるのだろう。着物を着て「まあ、お綺麗だこと、お出かけですか？珍しいですね」と
いわれる原因はどこにあるのだろう。
本来着物は普段着だったのだ。でも普段着であってもけして｢外に出るな」ではない。普段着でも洋服なら？今洋服で外に出て買い物をするときに
わざわざスーツを着ていくだろうか？ジーンズでラフな格好で、買い物をして友達とあって、図書館にいって・・ではなだろうか。
ただ普段着で確かに結婚式はいけないけど。
だけど、こういう着物であれこれはいけない、着物は着ていくマナーがある、格があるでしょ！ウールでお出かけする人がありますか！というおば様たち。
また着物はお手入れが大変で、クリーニングに何万もかかるという世間の常識。(ウールは自宅で洗えます）
着物がすたれていく中、せめてウールの着物(安価であっても）にもう少し業者さんも今の浴衣を売るように、力を入れていたら、こんなに｢着物は特別」なものにはならなかったのでは
ないだろうか。
ちなみに上の写真の左は外が見えるくらい薄い薄いサマーウールである。単に着れるし春にはおでかけに重宝した。
ほかにも普段着、ちょっとした外出に夏をのぞいてほとんどウールで私は過ごしている。温かいだけでない、実にバラエテイに富み
実用的でもあり綺麗だ。手入れもしやすい(アクロンで洗える）しアイロンもそんなに要らない。