【全身麻酔後の声のかすれ】
全身麻酔後の声の嗄れその１です。
まず一般に全身麻酔（多分挿管をされて手術された場合）の後の発声障害をここに書
いておきますが、挿管後の麻痺について項を改めております。いろいろな例があるこ
とを参考にされてください。
声帯は気管の上の膜で空気を出すときに震えて声が出るのですが、全身麻酔後声がか
すれると言う場合もあります。
これは声帯マヒのような状態あるいは慢性炎症のような状態、声帯肉芽腫など。
ポリープ様になる場合など、原因はさまざまです。
いい声とは声帯がきちんと閉じて,その状態で空気がその声帯の間の空間を震わせな
いと出ないのです。炎症とかマヒ,ポリープなどで声帯の閉鎖が悪いといい声は出ませ
ん。
麻酔は全身麻酔でしょうがこのときは挿管して、声帯の間から気管に挿管チューブを
入れますので、手術中は多少は声帯が挿管チューブで圧迫され、手術後挿管チューブ
を抜いても手術後1日目くらいは声がどういう場合でも出にくいし、この時無理に声
を出したらその声帯の術中の挿管チューブ圧迫によって多少は無理をしてる声帯が慢
性的に炎症を起こす場合もあります。
一時的反回神経麻痺を起こすこともあります。これは声帯を動かす神経が反回神経で
すが（声帯麻痺や反回神経麻痺の項も参考にされてください）
全身麻酔の時挿管しますが、数時間その体位の時の圧迫などもあります。
反回神経の声帯を動かす神経、反回神経の一番末梢神経の通り道に、
輪状軟骨部(正門下部)があります。
挿管によってここが圧迫をうけて末梢の反回神経が一時的にマヒすることもあります。切れることでは
ありません。圧迫によって神経が一時的に機能障害に陥るということです。
この場合自然に治癒する場合が多くおそらく『もうちょっと待ってみよう』と多くの先生はおっ
しゃいます。この挿入チューブの圧迫によって一時的に反回神経の末梢神経マヒが起
こってるのかもしれない、しかしそれなら回復するかもしれない、と考えていらっしゃ
るからかも知れません。
これは永久的なものが少なく自然治癒が多いのです。
あるいは気管チューブというより、術中の体位によってその反回神経の枝の圧迫で一時的麻
痺が起こることもあります。でも必ず治りますが時間がかかるかも知れません。
また特殊な部位、つまり頸部手術によって声帯を動かす神経を損傷することはありま
す。
あるいはやむを得ず取らないといけない場合もあります。
たとえば声帯を動かす神経まで巻き込んで甲状腺腫瘍がある場合など、
腫瘍を取ると声帯を動かす神経まで損傷する場合もあります。
項を改めて術後の声帯の動きが悪くなる例について書いておきます。
全身麻酔後の声の嗄れその２（特に神経圧迫）
全身麻酔後の声の嗄れその３、反回神経麻痺 手術後の声帯（反回神経）麻痺の経過も参考にしてください
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