【エッセイ 2001年秋 昔の繊維とフリース】
今年の夏家が出来て、かなり収納できだしたので、まず買うより整理から始め、それ
に足していくやり方で秋冬計画を立てた。
私ははベーシックなものを、しかも着物のように、昔から、母とか叔母から伝えられ
てきた着物とか服を大切に使うことが好きだ。古い人間かも知れない。自宅クリーニ
ングとか手作りとかお直しが好きだ。
実はユニクロのフリーズをはじめて父に買った、田舎ではユニクロなども行くのが大
変だから。70の父には珍しいものをと思っていたから。しかし買って（今回はいった
いフリースというのはどいいうものか私も父も知りたったので買ったが）愕然とした。
昔とよきにつれ悪しきにつれ繊維が違う。ユニクロには悪いが、まるで綿という繊維でなく
化学製品に触ってる感じがしたのだ。
少なくとも私の好みじゃないことが解った。指にフリースでは、「あの感覚、着てみ
たいという感覚」が伝わってこないのだ。
私が冬物や秋物を選ぶ基準・・・見かけじゃなく流行でもサイズでもない。感覚、手
ざわり・・・・そうなのだ。解った、今特に私が服、特にニットとか冬物オーバーなどを
かいたがらない訳は「今のどんなに高い服でも、優しさがない、着たいという手触りがなかなか
ないから」じゃないだろうか。
もともと中学校まで周囲が着物で育ったせいだろうか。もともと服はあまり買わなかっ
た。着物は先祖代代とか若いときとか、昔のものを使う、という性分が染みとおっていたから、
と思ったがそれだけではない。
昔の日本の20年以上前の衣服の、繊維の価値、手触り、優しさ。
私は何十年もの間、あまり新しい服もかわず、若いときのとか母や叔母のお下がりとかを
自分で洗ったり、お直ししたり、自宅クリーニングしたりで手間ひまかけながら
ずっと付き合ってきてた。毎十年も。その30年から20年前の服、衣服の優しさに私が慣れてしまった今、
私の頭でなく私の手が、皮膚が、フリースに代表される今の繊維を買いたがらなくなってるのだ。
叔母や母の遺産的服がどんなに助けてくれるか・・・
叔母や母の、７０年代のかなり生地がいいオーダーメイド服、これらの服がずいぶん
ある。この仕立てなおしとか、あるいはリバイバル服をずっと着ている。ジャケット
は幸い肩パットなしだし。オーバーはそのまま着れる（がやはり自宅クリーニングが
必須）ニットも随分昔のウールは長持ちしてる。すでに20年を経るものも、毛玉が出
来てないのだ。いいアンゴラだったのだろうか。特に数枚あるニットのワンピース。
今とてもじゃないが売ってない。これもまったく型崩れしない。
スーツウエストつめ、これだけは近くの安い業者さんに頼み（3000円だから安い）ウ
エストつめをしたり、自宅クリーニングで、綺麗にして、私も着て、ずっとすごして
きたが丈夫で安定感がある。それで目が肥えたというより指の感覚が超えたというべ
きであろうか。ここ何年も、自分でシーズンのたびに行ってきた自宅クリーニング（
絹まで洗えます）アイロンに補正、自分で直せるものは直してきた古い服のリフォー
ム。新しいものを買えばいいのにという周囲の声にもかかわらず頑固に続けてきた
20年から30年前の服の修理や管理。夏の虫干し。まるで昔の着物のようだ。
そしてこれはどうしても業者さんにお直し、という、かなり改まった席でも出る時に
着るためのスカートの選別。
この前叔母が来た。母が着てたオーバーやお直ししたスーツなど、30年前のものを洋
装をしてる叔母に見てもらった。（お直ししたスカートとか、自宅クリーニングした
オーバーとか）叔母にお墨付きをいただいた。
叔母いわく、あなた、これ今、とてもじゃないけど今日本では買える繊維じゃないの
よ。大切にしてお直しして、そしてきちんと自宅クリーニングしてよかったわね。相
当なお値打ちものよ。いいわね、古くても大切に着なさい。そういうのが20近くある。
代代、伝えられる服を着ていますので一見古く見えるかも知れないが。母から、私に
譲ってくれた、リバーシブルのウールコートも来年は大学に行く長女に譲るつもりで
いるが・・・やりたくない。私が着る。叔母が、お値打ちものといってくれた一つで
ある。また長女と大喧嘩（笑）になりそうだ。
まだある。ブーツも今はとても売ってないだろう、ムートンのブーツなども。
しかし何十年着るために必要なものは手間ひまだけでなく、体型維持である。20代と
ほとんど変わらない、子どもを2人産んで40代になってもまだ、20代の服がすっかり
着れる。ウエストはいつまで維持できるだろうか。まあ、水泳もやってるし。
・・・しかしどうしても着れない何百の古い服は
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