【甲状腺疾患 ＬＡＴＳ増多の甲状腺機能亢進】
甲状腺機能亢進症の患者さんの検査にLATS測定というものがあります。
バセドー病の患者さん、つまり甲状腺ホルモンを血中に多く分泌しすぎてその
弊害を起こす甲状腺機能亢進症状、患者さんの血中よりLATS（LONG-ACTIVE-THEROID-STIMLATOR）といって、
時間的に長く甲状腺を刺激する物質が発見されました。これは普通の人には検出され
ていません。
というのも、甲状腺はもともと正常な場合下垂体からのTSH（THYROID STIMULATING H
ORMONE）によって分泌は調整されます。
しかしLATSは、そのTSHと関係なく、免疫グロブリンGであることがわかりました。
甲状腺機能検査も参考にしてください。
つまり免疫グロブリンというのは数種類あるのですが、体以外からの異物を除去する
ために、抗原抗体反応をもともと『異物に対して』つくる免疫物質です。が、この甲
状腺機能亢進の場合、LATSという『体内の甲状腺、しかももってる本人にとっては異
物でないものに対して免疫が作られた』それが見られたことから自己免疫疾患（膠原
病の項参照）と言われるゆえんです。ただこれがすべての甲状腺機能亢進症にあては
まるかというとそうでないのです。LATSが正常な場合もあります。
甲状腺機能亢進症はいろいろな原因があるとも言われているゆえんです。
で、LATSは甲状腺刺激免疫グロブリンと言われています。
この場合甲状腺のTSHの受容体に対し、TSH（本来正常な甲状腺ホルモンの量を調整可
能）と受容体の結合阻害ばかりか、LATSが甲状腺をどんどん刺激させてホルモンを過
剰に分泌させるから『自分の臓器、つまり甲状腺のなかのTSH受容体に抗体をつくる』
ことから『自己免疫疾患』になると言われますがLATSしか今の所は(つまり甲状腺に
対してしか)見られないようです。
もし全身的な自己免疫疾患なら、たとえば関節リウマチとシェーグレン症候群が合併
するとか。あるいはいろいろな症状があります。
またそういう自己免疫疾患などに共通に見られるような血液物質は甲状腺機能亢進症
に限っては見られず、多分この臓器特異性（甲状腺のみ）の自己免疫疾患で、全身の
さまざまな臓器に自己免疫疾患を作り、症状が出る関節リウマチやＳＬＥなどとは別
個でないかと言われています。
ここまで基礎的なことしかやはり発見する側の耳鼻科としては解らないので最近の研
究で全身性の自己免疫疾患とのかかわりは主治医の先生にお聞きください。今では臓
器、つまり甲状腺という臓器特異性の自己免疫疾患が甲状腺機能亢進という形を取る
とは言われています。
ただそういうわけで臓器特異性といえ、やはりこの甲状腺機能亢進症の一部には家族
内発症も多い家系があることより、何らかの遺伝もかかわると言われてはいます。
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